朝になると「おなかが痛い」と言い出したり、玄関で靴を履いたまま動かなくなったり、日曜の夜になると口数が減ったりすることがあります。そんな様子が続くと、このまま学校へ行けなくなるのではないかと不安になるでしょう。フリースクールという言葉を聞いたことはあっても、行き渋りの段階で検討していいものかどうか、判断がつかない保護者の方は少なくありません。この記事では、行き渋りとフリースクールの関係を、公的な資料で確認できる事実と、実際にフリースクールを運営している立場から見えることの両方で整理していきます。行き渋りの段階で情報を集めるのは早すぎない行き渋りが見えた時点でフリースクールを調べ始めるのは、決して早すぎる行動ではありません。選択肢を知っておくことと、実際に通わせることは別だからです。手元に選択肢がないまま状況が進むと、判断を迫られたときに考える時間が取れなくなってしまいます。行き渋りという言葉に、公的な定義はありません。一般には、学校へ行きたくない気持ちが体調や行動に表れている状態を指して使われています。一方で不登校には、調査上の定義があります。文部科学省は不登校児童生徒を「何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者」と説明しており、病気や経済的理由による欠席は含めません。長期欠席として集計されるのは、年度間に30日以上登校しなかった場合になります。出典:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査 用語の解説(文部科学省)つまり行き渋りは、この30日という線を超える前の状態を広く含んでいます。数日休んで戻れる子もいますし、断続的な欠席が長く続く子もいるでしょう。どちらに進むかは、始まった時点では誰にもわかりません。数の面でも、行き渋りやその先の不登校は特別な出来事ではなくなりました。文部科学省が令和7年10月29日に公表した令和6年度の調査結果によると、小学校と中学校の不登校児童生徒数は12年連続で増加し、約35万4千人で過去最多となっています。さらにそのうち、学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒が約13万6千人いました。この13万6千人の大半は担任などから週1回程度以上の相談を受けており、何らかの相談や指導につながっていた児童生徒は全体のおよそ96%にのぼります。裏を返せば、学校の中の支援でとどまり、専門的な支援の手前で足踏みしている家庭がそれだけ多いということになるでしょう。出典:令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)(文部科学省)フリースクールは学校の代わりではなく、もうひとつの居場所フリースクールは、法律上の学校ではありません。民間の団体や個人が運営している、学校外の学びの場や居場所を指す言葉で、運営方針も過ごし方もそれぞれ違います。共通しているのは、学校とは別のペースで一日を過ごせるという点でしょう。学校以外の場で学ぶことの位置づけは、法律にも書かれています。平成28年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」、いわゆる教育機会確保法です。この法律は、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえた支援を基本理念のひとつに掲げ、国や地方公共団体だけでなく民間の団体との連携も定めています。学校へ戻ることだけが解決ではない、という考え方が制度の側にも置かれているわけです。出典:義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(文部科学省)似た役割を持つ場として、自治体が設置する教育支援センター(適応指導教室)もあります。こちらは公的な機関で、費用の負担が小さいことが多い代わりに、開設場所や受け入れ人数には限りがあるでしょう。フリースクールは民間が運営するため費用がかかりますが、方針や過ごし方の幅は広くなります。どちらが上ということではなく、子どもに合うかどうかで選ぶものだと考えてください。フリースクールに通った日が出席扱いになる条件フリースクールに通った日を学校の出席として扱うことは、制度上できます。ただし自動的に認められるわけではなく、判断するのは在籍校の校長です。文部科学省が令和元年10月25日に出した「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の別記1には、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けた場合の出欠の取扱いが示されています。そこでは、一定の要件を満たす場合に、その施設で相談・指導を受けた日数を指導要録上の出席扱いにできるとされました。要件として挙げられているのは、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること、通所または入所して相談・指導を受ける場合を前提とすること、そして民間施設での相談・指導がその子どもにとって適切かどうかを、校長が設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断することなどです。出典:別記1 義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて(文部科学省)実際に運用されている仕組みでもあります。令和6年度に、学校外の機関等で専門的な相談・指導等を受けて指導要録上の出席扱いとされた児童生徒は4万2978人で、前年度の3万8632人から増えました。珍しい取り扱いではありません。ここで大切なのは、鍵を握っているのが担任の先生や学校との関係だという点でしょう。フリースクール側がどれだけ熱心でも、学校との連携が取れていなければ出席扱いにはつながりません。見学の段階で、学校とのやり取りをどこまで引き受けてくれるのかを聞いておいてください。フリースクールのデメリットと、通う前に確認したいこと良い面だけを見て決めると、あとで負担が大きくなります。先にデメリットを挙げておきましょう。第一に、費用は家庭の負担になります。民間の運営なので、入会金や月々の費用がかかるところがほとんどです。第二に、在籍はもとの学校のままです。フリースクールに移るのではなく、学籍を残したまま通う形になります。第三に、出席扱いは前の章のとおり校長の判断であり、通えば必ず認められるものではありません。第四に、方針が施設ごとに大きく違います。学習支援に重きを置くところ、遊びや対話を中心にするところ、少人数のところ、大人数のところと幅があるため、名前だけでは中身がわからないのです。第五に、通うこと自体が負担になる場合もあります。行き渋りが出ている子どもにとって、初めての場所に行くのは学校へ行くのと同じくらい勇気が必要です。だからこそ、見学や体験を経ずに申し込むことはおすすめできません。こうした点を踏まえると、確認しておきたいのは、費用の総額と支払い方、通う日数を選べるかどうか、学校との連絡を誰が担うのか、そして子ども本人が「ここなら行ってみてもいい」と言えるかどうかの4点になります。>> GAIGO BASEについてはこちら行き渋りの段階で選ぶときに見る5つの視点ここからは、実際に見学へ行くときの見方を5つに整理します。行き渋りの段階は、まだ学校に戻る可能性も十分にある時期です。そのことを前提にした選び方をおすすめします。1. 一斉授業かどうか教室に入った瞬間に全員が同じことをしている場面が見えたら、学校で疲れている子には負担になることがあります。一人ひとりが違うことをしていても成立する運営になっているかどうかを見てください。2. 学習をどう進めるか学習の遅れは、保護者の方がもっとも気にする点でしょう。無学年式の教材を使っているか、さかのぼって学び直せるか、逆に得意な科目は先に進めるかを聞いておくと、戻ったあとの見通しが立てやすくなります。3. 大人の目が届く人数か少人数であることは、それだけで安心材料になります。声をかけられる距離に大人がいるか、話しかけられたくないときにそっとしておいてもらえるか、その両方が成り立つ規模かどうかを見てください。4. 学校との連携を引き受けてくれるか出席扱いを希望するなら、ここが実務上いちばん重要になります。報告の書式があるか、学校とどのようなやり取りをした実績があるかを、遠慮せずに質問しましょう。5. 子どもが好きになれる要素があるか勉強以外に、通う理由になるものがあるかどうかも見てください。人でも、活動でも、動物でも構いません。行き渋りの段階では、学びの中身より「行ってみたい」と思える理由の方が先に必要になります。英語のある環境が、行き渋りの子どもに合うことがある英語の教室が運営するフリースクールという選択肢もあります。エコール外語が開いているGAIGO BASEは、まさにその形です。ここからは、運営する側から見えていることをお伝えします。外国人講師との会話は、学校の英語の授業とは性質が違います。点数がつかず、正解と不正解で区切られない時間だからです。日本語が通じる外国人講師がいるので、英語が初めての子でも黙ったまま取り残されることはありません。うまく言えなくても通じ合える経験は、教室でうまく話せなかった記憶を抱えている子にとって、思いがけない自信になることがあります。GAIGO BASEでは一斉授業をせず、ICT教材を使った無学年学習を取り入れています。学校のカリキュラムに合わせた5教科の学習ができ、理解度に応じて先取りもさかのぼりもできる仕組みです。外国人講師と日本人講師の両方が見守るので、英検への挑戦のような具体的な目標も立てられます。基本的な文型を声に出して覚えるところから始められるため、英語をゼロから学び直したい子にも向いているでしょう。もうひとつ、教室にはミニチュアダックスのメロくんがいます。人と話す準備が整っていない日でも、犬とならそばにいられる子がいるのです。通う理由は勉強でなくてもかまいません。対象は小学4年生から中学生までで、3年生以下については相談を受け付けています。開講日は水曜と木曜と金曜で、時間は午前10時から午後3時までです。毎日通う前提ではないので、学校へ行ける日と組み合わせることもできます。よくある質問行き渋りの段階でも見学してよいですかかまいません。むしろ、まだ学校へ行けている時期に見ておくほうが、子どもにとっても保護者の方にとっても負担が軽くなります。見学したからといって、通うことが決まるわけではありません。フリースクールに通うと学校へ戻れなくなりませんかそうとは限りません。在籍はもとの学校に残るため、体調や気持ちが整った時点で登校を再開する子もいます。学校とフリースクールのどちらかを選ぶ、という二択で考えないでください。出席扱いは必ず認められますか必ずとは言えません。前の章のとおり、判断するのは校長です。保護者と学校の連携が保たれていることが要件になるため、申し込みの前に担任の先生へ相談しておくとよいでしょう。学習の遅れは取り戻せますか進め方しだいです。無学年式の教材であれば、つまずいた単元まで戻って学び直せます。GAIGO BASEでは、中学受験や高校受験に向けた基礎学力の定着にも対応しています。英語が苦手でも通えますか通えます。GAIGO BASEは英語を一から学びたい子も対象にしており、一人ひとりのペースに合わせて基礎から進めます。英語が好きになってから他の教科に気持ちが向く子もいますので、順番は問いません。何年生から利用できますか小学4年生から中学生までが対象です。3年生以下のお子さんについては、状況をうかがったうえで相談に応じています。学校の英語だけでは物足りない場合はどうなりますか英会話クラスや英文法クラス、英検対策クラスと組み合わせて受講することもできます。低学年のうちは外国人講師との会話を中心にし、高学年からは母語である日本語で文法を固めていく流れが、エコール外語の基本的な考え方です。エコール外語のフリースクール GAIGO BASE についてエコール外語は、大阪モノレール少路駅から徒歩5分の場所にある、英語とフランス語の教室です。2000年にキッズ英会話の教室として開校し、2017年ごろからは母語で学ぶ英文法講座と英検対策講座を始めました。少人数制にこだわって運営しています。GAIGO BASEは、その教室が開いているフリースクールです。一斉授業ではなく、見守りと対話を大切にした環境の中で、自分らしく安心して過ごせることを第一に考えています。見学と体験を受け付けていますので、行き渋りの段階でも、まずは様子を見に来ていただければと思います。<関連記事>子どもの英語学習が続かない理由とは?親が今日から変えられる5つの習慣小学生の英語教室の選び方は?後悔しない7つの視点と見極め方>> GAIGO BASEについてはこちらまとめ行き渋りの段階でフリースクールを調べるのは、早すぎる行動ではありません。小学校と中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人にのぼり、そのうち約13万6千人が専門的な相談や指導につながっていないという現状があります。選択肢を先に知っておくことが、いざというときの余裕になります。フリースクールは学校の代わりではなく、もうひとつの居場所です。通った日を出席扱いにする道も制度上は開かれていますが、判断するのは校長であり、保護者と学校の連携が前提になります。見学では、一斉授業かどうか、学習をどう進めるか、大人の目が届く人数か、学校との連携を引き受けてくれるか、子どもが好きになれる要素があるかの5点を確かめてください。そして何より、子ども本人が「行ってみてもいい」と言えるかどうかを大切にしていただければと思います。